2009年01月31日

タンザニア

え? タンザニアはどんな国って?
うーん、
思いつくまま漢字で表すとすれば・・・

情、信、友、喋、笑、朗、温、明、純、勇、神、誇、篤、優、支、雄、親、然、縁、共、互、挨、素、賑、鮮、踊、恩、喜、活、集、助、潑、、、

なんかステキな国ですね〜
非の打ち所のない平和なコミュニティーに見えますよね


でもー・・・
いいことばかりじゃないですよ、やっぱり

実際目に付いてばかりなのは・・・

雑、欲、金、騙、嘘、遅、滞、怠、直、休、利、忘、停、鈍、放、己、騒、粗、罵、単、獣、泥、駄、激、煩、執、混、野、叫、浅、途、偏、逃、盗、乱、危、肉、威、破、我、賄、軽、未、蛮、傲、今、楽、呆、稚、汚、裸、違、甘、貪、怒、埃、屑、卑、舐、熱、捨、固、濁、困、愚、迷、勘、、、、


うはー。
一気にリアルタンザニア
タンザニア人像=タンザニアの国柄です。
悪口並べてるみたいでちょっとだけ気が引けますが、
これ現実・・・


自分がいくらアフリカナイズされても、どーしても馴染めない感覚はいまだに腐るほどあるんです。
そりゃストレスも溜まるしケンカにもなりますよ。


日本人的感覚としてちょっとだけ贅沢言わせてもらえば

慮、考、早、倫、予、規、理、努、礼、慎、続、確、躾、応、働、正、効、清、計、誠、個、義、謝、鋭、抑、穏、静、忍、奉、深、和、律、熟、節、洗、感、微、察、備、豚、、、

ゼロに等しいこのへん、もう少ーし欲しいですが。


でも10ヶ月もいれば、絶対にこのお国柄が変わっていくことはないだろうなってことだって分かってきます。

当のタンザニア人たちが、この感覚で当たり前に暮らしてるんだもん
そもそも、そんな向上心もないし。


もし完全にアフリカナイズ、いやタンザナイズされてしまったら、
日本で社会復帰はもうムリかも・・・

ってかんじ。
いや、ほんとに。


それが、タンザニア。

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2009年01月28日

ありがとうさようならメルーさん

再び2500mで目覚める最終日
今日こそはゆっくり寝るはずが、レンジャーの事情でやっぱり早起きを余儀なくされた

8:30 山を後にする
今日は初日とは別の北ルートを通る
距離は南ルートの約半分

今日も抜けるような晴天
気持ちのよい風が吹きぬける草原を下る

行きとは動物の種類も多少違う
ヒヒ、キリン、バッファロー、ゾウ(の糞)
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今日は空気の心配はない
必要十分な酸素が自然と体内に取り込まれてゆくのが分かる

連日の疲労もどこへやら
足の筋肉や日焼けの顔がヒリヒリ痛むが
テンションは上々

ひらけた大地は見晴らしがいい
振り返ると、雄大なメルーが真っ青な空と真っ白な雲に彩られ誇らしげにそびえてる

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昨日の今ごろはあの辺にいたのかな
目を細め思いを馳せる
よくまぁこんなに歩いた(歩いてる)もんだと、自分たちに感心する
振り返るたび、感慨深い

死ぬほどきつい思いをして今こうして再び見上げるメルーは
心なしか4日前と全く違う貫禄ある表情をたたえているように映る


つくづく思った
自分はストイックなことが好きで好きでしかたないのかも、と

途中で諦めそうになることは何度もある
でもやめられない何かがある
達成感や爽快感は何ものにも代えがたい
それを知ってしまった以上、どんなに辛くてもやめることができない自分がそこにいる

登山の場合、それが命に関わることもあるが…

正面のキリマンジャロは、今日は頭上から見下ろしているように見える
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今度は自分に挑戦して来い
そう言わんばかりに

正直、メルーに登ったあと逆にキリマンジャロ登山に対する不安が大きくなった
さらに1400m近く高い世界は、それだけ酸素もうすい
吐くどころでは、済まないかもしれない

でも
でもやっぱり、登るんだと思う
困難であればあるほど、ウズウズを止められない


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総高低差6000m、登山総距離47km、登山時間30時間におよぶメルーチャレンジは終わった

もう二度と来るもんか、と思う
同時に、来てよかった、と思う

ありがとう、メルー。


そして、最後の最後まで励まし支えてくれた2人に感謝

重たい荷物にもかかわらず、最後までいつも笑顔で引っ張ってくれたメルー登山リーダー、マキさん
クライマーズハイで高山病に打ち勝ち、常に励ましを忘れなかったストイック部部長、おかーにゃ

2人なくしては、登頂は絶対にありえなかった
感謝しても、感謝しきれない

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貴重な仲間と共有した、貴重な経験

一生涯、忘れることはないと思う
色鮮やかな思い出として心に残るとともに、最後まで諦めなかった信念は明日への自信にもきっとつながる

そう信じている


posted by たいよう      at 22:11| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

神の棲処

そうして8:30
(写真4909)
足を引っ張る自分の遅れで山頂到着時間も遅くなった
実に6時間半かかっている

Meru summit a.k.a. Socialist peak

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4562,13m + 1,75mから見下ろす、アフリカの大地

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雲の白も木々の緑もはるか眼下にかすむ
目の高さにキリマンジャロ
アフリカが誇る5900mの巨大な晃峰さえ、まるで同じ高さにそびえているかのような錯覚を起こす

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いま、ここはタンザニア第二の高さ
太陽が近い
空の蒼も近い

疲れなどとっくに吹き飛んでいる
テンションも上がる

やっと着いた
3人とも無事に、ようやく着いた

確かに薄く感じる酸素、ゴツゴツした頑丈で無表情な岩石、極寒の岩肌に輝く霜柱、見るからに栄養のなさそうなひ弱な草
そこはもはや、人間の住む世界とはかけ離れている

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ちっぽけな人間の存在を凌駕したありのままの大自然に、ただ圧倒される

360°
視界をさえぎるものなど何もない
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頂上の遥か上空を、小鳥がこともなげに飛び交う
風がひゅうひゅうと音を立て過ぎ去ってゆく
雲の塊がわたがしのように蒼のキャンバスを流れていく
手も届きそうなくらい、すぐ目の前を

その眺めは、四角いファインダーになど到底収まりそうもない
前も後ろも、右も左も、自分を取り囲む全ての物事に感動が溢れているから
それをありのままに感じられるのは、ほかならぬ人間の五感でしかありえないから

人を容易に寄せ付けないこの光の峰は、まさしく神の住む世界なのだと思う




帰り道というものは短く感じるものだが、今回はそうではなかった
慣れたと思っていた身体は、予想に反してまだ高地順応できていなかったのだ

3人分の荷物を担いで下る険しい岩の道
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4300m地点のあたりで突然の嘔気に襲われる
そして、嘔吐

これが高山病
時として生命さえも奪う危険な病魔
さいわい、症状と呼べるものはこの嘔吐だけだった
しかし、そこで一気に体力を消耗した

先を急かすことしか頭にないレンジャーによる精神的な影響もあり、またも頻繁な休憩を余儀なくされてしまう
バックパックを背負う余裕など、もう残っていない

結局、さっさと先に行ってしまったレンジャーを追うようにサドルハットに到着したのは15:00
だが、道はまだまだ続く
今日中にさらに1000m下手のミリアカンバまで戻らなければならない過酷な日程なのだ

ということで、ミリアカンバを目指し再び出発
下りの道程も最後尾につく
階段に差し掛かると膝がガクガク笑う
最後の階段エリアが果てしなく長く感じられる

ミリアカンバ着は20時すぎ
森は再び静かな闇に包まれている
ついさっき真横で拝んだと思ったオリオン座は、再び頭上から僕らを見下ろしていた


高低差3000m、距離20km、約16時間、歩数約60000歩という、長い長い一日はこうして終わった
やはり、一番過酷だった
そして、一番感動した

疲労のためか嘔吐のためか、今晩は食欲は出そうもない

posted by たいよう      at 21:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月25日

3日目 万華鏡の空

深夜1時
2時の出発に向け今日は早起き
朝というか、まだ夜

頭痛がひどい
ガンガンするような痛みだ
寝ている間に呼吸が浅くなって、軽い高山病になっているのかもしれない
なにしろここは3500mの高地
風邪ではないとは思いながら、今日もまた葛根湯に頼ってみる

よく覚えていないが、なんだか悲しい夢を見た気がする
その夢は、意識の奥の方にまだなにか暗い影を落としている
要するに、最悪の目覚め

寒い
寒すぎる

痛みをこらえ支度する
2時過ぎ
ヘッドライトと懐中電灯を頼りに4人、サドルハットを出発
当然、明かりなどない
星明りだけだ
新月なのか、月はどこにも見当たらない

辺りは不自然なほど静まり返っている
耳を澄ましても自らの足音しか聞こえない
静けさが、深い

空は大変なことになっている
一面に散りばめられた星という名の小さなライトが、漆黒の宇宙空間と無音の大地を照らしている
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オリオン座の中にも20近い星が煌いている
顔を上げれば流れ星
あの停電の夜を思い出す

3:30 
ひらけた台地、ライノースポットに到着
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ここで3800m
すでに富士山より高い
こんな時間だというのに、街明かりが見える
キリマンジャロの麓の街、モシだ

山肌はライノーを越えたあたりからその表情を変えている
道という道はない
険しい岩場を両手も使いほぼ水平に渡る
まるでアクション映画の世界
闇のおかげで幸か不幸か下は見えないが、足を滑らせて滑落すればおそらく助からないということは容易に想像がつく
SASUKEみたいでスリルがあるのはいいが、なにしろ危ない

3900mあたりで植生も表情を変える
視界に映る緑は極端に少なくなり、もはや木と呼べそうな植物は生えていない
丸っこい枝ばった植物が足元に点在している程度である

斜面は石ころ交じりの砂利道
足をとられ歩きにくい
峰づたいに登る頂上までの道程
深い崖に挟まれた細い稜線をただひたすら登る
手も使うような登りが果てしなく続く


心臓は鼓動を打つのに必死だ
さいわい、頭痛はいつのまにか消えている
ただ、少しだけ息苦しさを感じる
意識的な呼気を心がけなければならない
そうでなければ次の吸気が不十分になる

はるかキリマンジャロの西側にほんのりと街明かりが見える
方角的に隣国ケニア首都、ナイロビか
キリマンジャロの向こう側はもうケニアだ

月はあいかわらず姿を現さない
いつのまにかオリオン座が真横に位置していることに気付く
自分たちがそれだけ登ったのか、それとも一心不乱に登っているうちに星がその座標を変えたのか
時計はすでに明け方に近い時刻を示している


6:00ごろ
標高は4200m程だろうか
東の空が白みだす
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すでに雲海ははるか麓の方を漂っているようにさえ見える
アッシュコーンもはるか眼下から僕らを見上げている
紅みを増す空
雲に隠れた紅みがぼんやりと柔らかな光を発する


6:30
ついに太陽が雲海の上に顔をのぞかせた
ふわふわした雲の一点を朱色に染めたかと思う間もなく、あたりをくまなく照らしながらあっという間にその姿を現したアフリカの太陽
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紅い、とにかく紅い
今までの何気ない一日一日も、自分の知らぬところでこうして始まっていたのか
ふつふつとたぎるものを覚える

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キリマンジャロと朝日
眼下にはクレーターと大雲海
圧倒的な迫力で迫り来る大自然にみとれるしかない

複雑な起伏の多い無機質な崖
その岩肌を横から照らす朝日が、細かな陰影の表情を作り出す
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まだまだ先は険しい
険しいなんてもんじゃない


数m歩いては休み、休んではまた数m歩く
休むために歩く
歩くために休む
そんなリズムになったのはどのあたりからだったろうか
立ち止まると猛烈な睡魔に襲われてしまう

正直、この辺りの記憶はところどころボヤけている  
意識自体がはっきりしていなかったのだ
あいまいな意識は、高山病の症状なのか、ただの睡眠不足か、連日の疲れか、風邪による体調不良なのか、今となっては分からない
ただ、あいまいな中でもできる限りの状況判断を下していた
下そうと自分に言い聞かせていた
なんとなくだが足取りが少しフラついているという認識はあったし、谷底に転落しないよう岩肌に身を預けて休憩する余裕もあるにはあったのだから

黄色く濁った水をこまめに飲む
雑味たっぷりで、マズい
でも不思議と、ウマい

険しい岩場は永遠かと思われるほど続く
岩の隙間に雪の結晶が姿を現したのも4200mあたりだった
そのせいで岩の表面は滑りやすい


4300m
残り200mあまり

遠く朝日に照らされた雲海は、コーヒーに注がれたミルクのように刻一刻と表情を変える
疲れきった気力
もはや前に前に身体を押し進めることしか頭にない
うつむきがちになり、視線も足元の岩と重たい足ばかりを追っている


ふと顔を上げる
朝日と反対側、西の斜面
うっすらと麓の森を覆っている薄雲のあたりに、定規で引いたように均整の取れた黒っぽい山がそびえている
あんなところに山はないはずだが
もう一度目を凝らす
そして言葉を失う

山に見えたのは、朝日と今踏みしめているメルーとが作り出した「陰」という名の巨大な幻だった
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うつらうつらした不明瞭な意識が作った心の隙間に、日常のスケールを超越した大自然がなだれ込んでくる

「なんてところにいるんだ・・・」
声にならない言葉が胸をかすめる
涙が零れる
理由なんてない
あまりの光景に魂を揺さぶられたから
ただ、それだけ
涙は止まりそうもない

学生時代
生まれて初めてのマラソン
40キロ地点で流れていたZARD「負けないで」を聴いた瞬間のとめどない感情を思い出す
そういえば、あの時も1人涙しながら2キロ先のゴールを目指したのだ


常に最後尾で一人こまめに休憩をとりながらの登り道
自分が足を引っ張っている
それは分かる
だがこれ以上速く進めそうもない
2人に励まされ、なんとか少しずつ頂を目指す

頂上でご来光を拝み下山してくる白人登山客とどれだけすれ違っただろう
「もうあとちょっとだよ」
親切に励ましてくれる人もいる


永遠にも思われた岩の難道にようやく終わりが見えてきたのは、そのころだった


ラベル:朝日
posted by たいよう      at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2日目 天空の散歩道

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湯気のように立ち昇る雲海の水蒸気が眼下に広がっている
そこは標高2500m、ミリアカンバ

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朝日が顔を出そうとしている
その左手にはかなり高い山
その山の頂も朝日に照らされつつある

しばらくその様子を眺めていても気がつかなかった
だが、その山こそキリマンジャロ
70km先にそびえるアフリカの屋根だ

堂々としたメルーの頂も陽を受けている
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今日の登山はひたすら長い階段道から
歩幅が自分で決めづらく、歩きにくい

2時間後
だいぶ登ったのだろうか
ミリアカンバははるか下の方に小さく見える

予定では、4時間で1000m登ることになっている
昨日に比べると、たしかに傾斜は遥かに急に感じる

目の前にはジブリの世界のような緑豊かな森が広がる
雲海を見下ろし、そして背後のキリマンジャロと正面のメルーを見上げながら登る
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キリマンジャロは万年雪の帽子をかぶっている

動物の顔ぶれも昨日とは少し違う
シロクロコロブスという珍しいサル
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それとやはりゾウ(の糞)
ゾウは4000mあたりまで棲息しているという

いつしか階段道は少しだけなだらかな坂道に変わる
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3000m地点 
Mgongo wa tembo「ゾウの背中」と名づけられたこの地点で休憩
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きのう見上げたアッシュコーン(クレーターウォール)は上から見ると正円の口をあけている

名も知らぬ花が鮮やかな黄色の花びらをこちらに向けている
小鳥のさえずり、風の吹きぬける音、木々のざわめき
すべてが同じ周波数で心地よく耳に入り込んでくる

手持ちのサンドイッチを頬張るが食欲はない
しかたなく水を流し込む
湧き水を煮沸しただけの濁った水は大地の味がする

今日もかなり汗をかいている
そのせいか、水分は多めに摂っているなのにほとんど尿意を感じない

高山病の症状は今のところない
ただ、心拍数がやたら高い
空気から取り込んだわずかな酸素を全身の筋肉に行き渡らせるため、心臓が悲鳴を上げている


尾根伝いの今日はとにかく視界が開けている
空が抜けるように蒼い
蒼と緑と黄の鮮やかなコントラストがしきりに目を引く
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まるで天空の散歩道

だが、景色を眺める余裕もしだいに消えてゆく
残された体力は徐々にしかし確実に減ってゆく
代わりに溜まっていく疲労
足元に視線を落とし歩き続ける

せわしなく拍動する手首の動脈は、心臓の負担をはっきり表している
気圧の低い高山では、通常98〜99%を示す血中酸素濃度が極端に低くなるという
今測れば、80台ヘタすれば70台にまで落ち込んでいるかもしれない
平地では死の危険がある数値だ

酸素は確実に薄くなっている

バックパックに圧迫され、呼吸は浅く速くなる
ここからは意識的な深呼吸なくして思うように進めない

休憩の頻度も多くなる
巨大なバックパックを担いだポーター(荷物運び)が颯爽と追い越していくのを尻目に、歩みを止めた自分の足は棒のようだ 
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「まだまだだ、早く行くぞ」
レンジャーは急かすことしか頭にない
なんとか登りきろうという気持ちに、彼ののん気な鼻歌がいちいち水を差す

道は右に左に切り返しを繰り返す単調な登り坂

3300mのあたり
景気づけにまたみんなで歌を口ずさんでみる
だが、登りで歌はマズかった
一瞬気分は盛り上がったものの、その影響はそのまま足にきた

先の見えない不安が積もる
体力は、もうあとわずか

ようやく、つづら折りの間隔が短くなる
もうすぐ目的のサドルハットか
だが、折り返しても折り返しても視界にハットは映らない
期待すればするほど、その都度ガッカリさせられる


予定通りの4時間後、ようやく到着
3500m、サドルハット
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疲労はピークに達している
達成感はあるが、もはやはしゃぐ元気などない
標高が高いせいか、あたりの緑もこころなしか生気を欠いて見える

気温もかなり低い
水道から出る水は、凍っても不思議でないほど冷たく、痛い

暖かい夕食が、またも疲れきった身体に染みわたる


今日も昨日と同じくらいきつかった
いや、それ以上にきつかった

精神的にきつかった昨日と、体力的にきつかった今日


「急なアップダウンがある分、実はキリマンジャロよりメルーの方が厳しい」というレンジャーの言葉が蘇ってくる

その意味を、なんとなく垣間見た気がする

posted by たいよう      at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Mt.Meru 登頂記 初日

登山−

ほとんど経験のない山登りにチャレンジする気になったのは、一緒にメルー山に登らないかという同期隊員の誘いがきっかけだった

タンザニアとケニアにまたがるアフリカ最高峰キリマンジャロ(5895m)の存在感に隠れ知名度は低いが、メルー山はタンザニア第二の高さ(4562m)を誇る雄山
タンザニアは北部、キリマンジャロの南西70kmにそびえるメルー山は、アルーシャ国立公園の中に鎮座している


2008.12.26
早く眠りについたからだろうか
5:30に目が覚める

寝転んだままでまず頭痛を確認する
前日にアルーシャ入りしたのだが、飛行機で原因不明の激しい頭痛に襲われてからというもの、昨晩はずっと頭痛との闘いだった

葛根湯が効いたのか
頭痛は治まっている

熱めのシャワーで目を覚ます登山初日

街はまだ完全に眠りから覚めていない
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朝もやのむこうに、メルーがそびえている

7:30
出発の時間
ゲストハウスから登山口ングルドットゲートまでは、バスで一時間半の道程

アルーシャは標高約1500mの高地に栄える街
日差しは強いが、気温はさほど高くない
広葉樹が自生する街並みは、同じタンザニアとはいえ見慣れた風景とは趣が違う
ヤシばかり生えている山のない島ザンジバルとは植生が異なるのだ

いよいよゲートが近づく
草原の向こうにはキリンやバッファロー、シマウマが見える
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国立公園に棲息する野生動物を見ながら山に登れるのもメルー山ならではの魅力だ

3泊4日の登山
万一に備え、ライフルを持ったレンジャーが付き添うことになる

11:44
ゲートでの支度を終え、レンジャーも含めた4人のパーティーでいよいよ登山を開始
距離は長いが傾斜のなだらかな南コースで、初日の目的地ミリアカンバハット(2500m)を目指す

斜度の少ない砂利道はすぐにコブシ大の石の道になる
30分後
みなめっきり口数が減ったようだ
そういう自分も息が上がっている
日ごろの運動不足を否が応でも実感せざるをえない

両側にはブッシュが広がっている
その中に動物たちが時折姿を見せる
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ディクディク、ブッシュバック、バッファロー、そしてゾウ(の糞)

木陰から首を覗かせるキリンにも遭遇
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距離にして30〜40mか
置物かと思うほど微動だにしないその姿は、なにか実感を伴わない不思議な存在に見える

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他の木を飲み込んでしまうストラングルツリー
絡まりついた無数の枝が植物の世界の弱肉強食を物語る

にしても、出口の見えない登り坂はつらい
登れども登れども、その先には微妙に表情の違う登り坂が続く

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レンジャーに残りどのくらいかかるか尋ねるが、なぜか聞くたびにその答えは長くなってゆく
あまりに長い坂道に、根負けしそうになる
カメラを構える気力もみるみる萎えてくる

顔から体から、汗が吹き出る
うつむくと、その汗が雫となって足元の乾いた土を濡らす

水分はこまめに補給しているが、体内のナトリウムが不足してくるからなのか無性に塩気のあるものが食べたくなる
さいわい、バックパックの中には来る前に買っておいたOttotto(おっとっとのパクリ商品)がある
が、これが予想に反して甘い

ガッカリ
パクるなら、しっかり味もパクってくれ
やり場のない苛立ちが込み上げる

疲労困憊のパーティーを容赦ないスコールが襲う
さっきまでの晴天が嘘のように、空は真っ黒な雲に覆われている

止む気配のない豪雨にテンションも最低状態
木にもたれかかりついウツラウツラしかける自分を、雷が叩き起こす
結局、雨に打たれながら行軍を再開することに

坂道に体力を奪われ、雨に気力を奪われ
クレーターウォールという記念撮影スポットに着いても誰一人カメラを取り出す余裕はない
さすがに見かねたレンジャーに「写真を撮れ」と促がされる始末
彼にしてみれば、さっきまでゾウの糞まで撮ってたくせに、というところだろうか

なにしろ彼はキリマンジャロに10回も登った軍隊上がりのタフガイ
「こんなのウォームアップだ」
もう苦笑いすらできない

ラスト1kmは下り道
せっかく登ったのに…
とは思いつつ、終わりが見えた開放感からテンションは最高潮に達する


みんなで歌を口ずさむと、あっという間に1kmは過ぎ去る
体力なんて気持ちでどうにかなるものだ


ミリアカンバハット
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食事は専属のコックが作ってくれることになっている
さすが山のコック、疲れた身体が欲しがっているものがよく分かっている

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きゅうりのスープと粉吹き芋、ビーフシチュー
濃い味が身体に染みこんでゆく
体が芯から温まるのが分かる

標高2500m
けっこう肌寒い
12月の雰囲気を初めて感じた気がした

高低差1000m、距離16km、所要時間6時間の初日はとりあえず終了
正直、6〜8分目あたりは地獄にも似た気持ちだった

クタクタ

20時には死んだように眠りにつく
「いくらなんでもこんなにきついのが4日続くってことはないよ」

仲間のその一言だけを信じて
posted by たいよう      at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月19日

生きる

小生、26歳になりました。
これで、ついこの間までオジサンの領域だと思っていたような気がする20代後半に突入です。
「もう、すぐ30になるよ」ってよく耳にします。20歳になったときにも同じこと言われた記憶があるのですが。

6人に増え賑やかになったザンジバル隊員たちにサプライズでお祝いしてもらいました。
ケーキの代わりにグラタンに立てられたロウソクを吹き消したとき、そういえば去年の誕生日は消防訓練の日で、ロウソクの代わりにガソリンで燃え盛る巨大な炎を消火器で吹き消したのをふと思い出しました。

プレゼントもらいました。
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以前紹介したティンガティンガの風刺画バージョン、これは病院編。
しかも
これはムナジモジャ病院。僕の配属先です。

動物たちが院内業務を繰り広げています。
手術室、待合室、受付、処置室、注射室、診察室、検査室・・・
院内の雑多な雰囲気やアバウトな仕事ぶり、よく感じが出てます。



肝心のリハビリはないんだね。ぅん。

でも、ありがとう。


誕生日当日は海でのんびり過ごそうと東海岸ジャンビアーニへ初めて足を運びました。

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Malaika guest house

電気はないけど、一泊$10で夕食朝食と涼しい海風付き、もれなくたくさんのジャンビアーニっ子たちと遊べ(遊ばれ?)ます。

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料理中のハジさんと息子のハミス(ちょっと泣き虫)
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日が暮れても「遊んで」攻撃をやめない元気なジャンビアーニっ子たち


話の弾みで誕生日と知った主のハジさん。
「なんでもっと早く言わなかったんだい」と言って、翌日の昼、和食をごちそうしてくれました。
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以前日本人経営のバンガローで働いていたという経験を活かし、和食作ったり少しだけ日本語話したり日本人的な細かい気配りができたりするまさにMalaika(=天使)のようなハジさん。
どこかアットホームでつい長居したくなります。


ここで「生きる」という本に出会いました。
詩人・谷川俊太郎氏の「生きる」という詩に共鳴したmixiの利用者がそれぞれ自分の「生きる」について書き込みを始めたことがきっかけでした。そうして集まった膨大な詩を一冊の本にまとめたものが「生きる」です。
この本には、生きていることとは何か、という問いへのそれぞれ等身大の想いが詩となって綴られています。

やわらかなランプの光で読む「生きる」
その中に新たしい価値観を発見したり共感したり。
ここで紹介したいような心に響く詩もたくさんありました。ぜひ、手にとって直接読みたい一冊です。

「じゃ、自分にとって生きることとは?」
誕生日というまさに節目のその日、生きるということについて考え直す機会に恵まれたのはただの偶然ではなく何か意味のあることのように感じます。

もちろん、せっかくなので自分なりの「生きる」も考えました。
そして「生きる ジャンビアーニ版」に書き記してきました。
(「生きる」を持ってきた邦人が、宿泊者が書き込めるようにと作ったノート。本と一緒に置いてある)

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オリジナル版「生きる」 & ジャンビアーニ版「生きる」

あったかほっこりなおすすめゲストハウスMalaikaと「生きる」
興味のある人、ぜひぜひ遊び&読み&書き込みに来て下さい。

posted by たいよう      at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Heri ya mwaka mpya 2009

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さて、今ごろですが年が明けて2009年になりました。
明けましておめでとうございました。

クリスマスごろから連休をもらえたおかげで、旅行(主にタンザニア北部)でリフレッシュしつつ迎えた新年。

思えば、目まぐるしく過ぎ去った2008年はある意味人生の転機とも言えるくらい大きな1年でした。
九州から大海原に飛び出し世界に出会った2008
いろんな人に出会いその刺激を浴びるほど受けた濃密な2008

「よく食べて、よく動いて、よく寝て、よく食べる」
去年の正月に掲げた2008年の抱負ははまぁまぁ達成できました。
外国ということで健康管理をしっかりしようと掲げた抱負だったと思いますが、
われながらレベルの低い抱負だったと、1年経って気がつきました。

そこで、2009年の抱負。今年は少しだけ真面目に。
「自分の知らないことに積極的に興味を持ち、2008年以上にいろんな経験を積み自分を磨くこと」

来年の正月もタンザニアかと思うと、正直2年って長いなぁ・・・=3  と思いますがー
とにかく、自分で決めたことなのでやりぬく気持ちに曇りなしです。

しばらくお休みしていたこのブログも、心機一転、そろそろ再開しようと思います。

ということでみなさん、今年も1年よろしくお願いします〜☆


ラベル:2009 抱負
posted by たいよう      at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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